コーヒーの甘みとは

コーヒーは甘いのか？

コーヒーといえば苦味や酸味をイメージする方が多いですが、実は「甘み」もコーヒーの重要な味覚要素の一つです。ここで言う甘みとは、砂糖のような直接的な甘さではなく、コーヒーチェリー本来が持つ自然な甘みや、焙煎や抽出によって引き出されるほのかな甘さを指します。

甘みを感じる理由とは

コーヒー豆にはショ糖や果糖といった糖質が含まれており、焙煎の過程でこれらがカラメル化することによって独特の甘みが生まれます。特に、豆の中にある「少糖類」と呼ばれる成分が甘みの主役となっており、この成分はアラビカ種に多く含まれています。この自然な甘みは、米をよく噛んだときに感じる甘さに近いともいわれています。

甘みが強く出やすい品種・産地

品種
甘みが強いとされる品種には「ブルーマウンテン」「コナファンシー」「カトレア」「コロナ（コロンビア）」などがあります。これらはチョコレートやバニラのような甘い香りやコクを持つのが特徴です。

産地
甘みを感じやすいコーヒー豆は「中南米」と「アフリカ大陸」の豆に多く見られます。

• 中南米（メキシコ、エルサルバドル、ホンジュラス、ペルー、グアテマラ、コロンビア、ブラジルなど）は、すっきりとした酸味とバランスのよい甘みが特徴です。
• アフリカ（エチオピア、ケニアなど）は、ベリーや柑橘、桃のようなフルーティな甘さが感じられます。

焙煎と甘みの関係

焙煎はコーヒーの味わいを大きく左右します。

• 浅煎り：酸味が中心で、糖質の分解が少なく甘みが感じやすい傾向があります。
• 中煎り：酸味と苦味のバランスがよく、ほどよい甘みを感じやすい焙煎度です。
• 深煎り：苦味が強くなりますが、うまく焙煎するとカラメルのような甘みも引き出せます。

プロの焙煎士は、甘みが最大限に残る焙煎度合いを見極めて仕上げています。

抽出方法で変わる甘みの印象

• 湯温：85℃程度のやや低めの温度で抽出すると、苦味成分の抽出を抑え、甘みを引き出しやすくなります。
• 抽出時間：短めにすると酸味や渋味が抑えられ、ほのかな甘みを感じやすくなります。
• 挽き方：中挽きがおすすめ。細かすぎると苦味や雑味が出やすく、粗すぎると味が薄くなり甘みも感じにくくなります。
• ドリッパーの種類や抽出スピード：ペーパードリップでゆっくりと抽出することで、バランスのよい甘みを引き出せます。

コーヒーを甘く楽しむためのヒント

コーヒー本来の甘みを引き出して味わうには、いくつかのポイントを意識することが大切です。
まずは、甘みが強いとされる品種や産地の豆を選びましょう。焙煎度は中煎りからやや深煎りが理想的で、豆の持つ風味と甘みのバランスを楽しめます。
挽き方は中挽きにすると、味の雑味を抑えながらしっかりとした甘みを感じやすくなります。また、抽出に使うお湯の温度は85℃前後が適しており、抽出時間はやや短めにすることで酸味や渋味が出にくくなります。
抽出方法としては、ペーパードリップのようにゆっくりと時間をかけて淹れるスタイルが甘みを引き出すのに向いています。そして、ミルクや砂糖を加えず、豆そのものが持つ自然な甘さにじっくりと向き合うことが、コーヒーを甘く楽しむためのコツです。

これらのポイントを意識することで、コーヒー本来の自然な甘みをより一層感じられる一杯を楽しめます。